私がOVAの「戦闘妖精雪風」を嫌うのは、そのあんまりな中途半端さにあります。
原作ファンを狙うのならファンアイテムに徹すればよいところを、原作ファンがここはアニメでも観たいと思うような場面(ex.ラフに敬礼、「はい閣下」、もしくは除雪隊)を落とし、どう考えてもストーリーと効果的にからまないオリジナルシーン(ex.ピーチと豆、コルク栓)を作るような。原作未読の人向けならば、まずは設定や登場人物等をわかりやすく紹介するべきなのに、原作読んでないと物語がわからないと言わせてしまうような。
そして、私みたいな素人に演出がなってないなどと口出しさせてしまう、映像自体のクオリティに比して低すぎる、表現の稚拙さが大嫌いです。まあもっとも私は空中戦に関してはどうこう言う資格がないと思うので、一応、戦闘シーンは除いて。
さらには、深井中尉とブッカー少佐のあからさまな狙ってる感には、虫唾が走ります。
いえ、別に、いわゆる腐女子な人を狙うのは全然かまいません。むしろマーケティング戦略的には狙っとけばとすら思います。そこを否定するのは、腐女子である私自身を否定することですからね。
しかし、どうかすると女性向けな萌えは、狙っているんだか狙ってないんだかの微妙なところにこそあるのです。一般向け作品なのに一般の人が見てまで、なんかモロにBLっぽいのにげんなりするような雰囲気では、萌えが生まれる余裕がありませんよ。
雪風OVAに散見される、ああゆうあざとさを受け入れてくれるのは、深井中尉&ブッカー少佐を是とする心が広くて優しいおねーさま方だけです。私は偏狭で底意地が悪いうえに、深井中尉とブッカー少佐はわりかしどうでもいい。
雪風OVAが非難されるのは、一体どういう客層を狙っているのかがはっきりしないことと、逆に狙いが明確な部分のレンジの狭さが、アニメ作品としての完成度を損なっているからです。
つまり、やるからには、
- 影薄き雪風初代FO“名前クレジットしたれや”ヒューズ少尉
- 薄幸の2代目FO特殊戦の体現者“生ける屍”バーガディシュ少尉
- “金髪は軟弱”米国至上主義ライターのアンディ・ランダー
- 航空電子工学の天才“戦士トマホーク”トム・ジョン大尉
- “アル中で黄疸、グレーダーに銃弾”第三機械除雪隊の天田守少尉
- エリートテストパイロット“フラグ立てまくり”ヒュー・オドンネル大尉
- “犬は嫌い”KYエースパイロット3代目FOなるかの矢頭少尉
- 新任FO元情報軍“鏡なんか洗面所にいくらでも”の桂城彰少尉
- 505攻撃部隊チームリーダー“心労で胃に穴あきそう”ギャビン・メイル中尉
と、最低でもこれくらいは必要でしたね。幾らでも順列組み合わせができるように。
本気で腐女子を狙うとは、こういうことです。
ええい、せめてイイ男がこんな風にわんさか出てくれば慰めになったものを。
もちろんランコム少尉や、グノー大佐やヤザワ少佐やライトゥーム中将やロンバート大佐やリンネベルグ少将その他各特殊戦パイロット&FO等々だって忘れたわけではありません。
色々な解釈を許す懐の広さ、もとへ様々なニーズに応える間口の広さが、名作を名作たらしめるのです。
そんなこともわからないくせに、腐女子にすり寄ろうとしないでいただきたいものです。
やるからには、真剣に、真面目に狙ってください。そう、TVシリーズで。
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