"あなたの魂の物騙り"カテゴリーの記事一覧
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『あなたの魂に安らぎあれ』で、私はどうしても気になってしかたがないことが一つあります。
もちろん、『あな魂』の新版文庫で改訂された箇所について、古参のファンがほとんど話題にもしやがらないことが、前々から気になっていますが(某所にたむろする奴らも大したことねーな)、それはまあいいです。自分の読んだバージョンに固執して他は気にしないのは、読者としてごく当たり前の態度ですから。そうではなく、『あな魂』の28章で秋川誠元がとある衝撃を受けて、階段を駆けのぼる場面がありますね。その少し前に屋上にでも行けと言われるのですが、その時場所は確か地下三階です。そこから、四十三階のフロアまで、って、え~?
今や冬の京都の風物詩となった、JR京都駅ビル大階段駆け上がり大会じゃないんですよ。五十階分に近い階段を、全部走ってのぼれるものなんですか。
そりゃあ実測距離にしたら1kmもあるわけないでしょうし、速い人なら1km3~4分てものでしょう。全然普通に走りきれます。でもそれは平地の場合で、階段は自分の体重を持ち上げる分だけ体力を消耗するわけだから…。膝への負担も大きいし…。歩いてのぼることを考えただけで、ぞっとするっての。いえね、最後は駆けているつもりで誠元が、汗だくずたぼろぜえぜえ言いながら、よろめくように階段をのぼっているだけなんだろうなとは思います。て言うかそうなんでしょうしね。
ただ、それがたった2行でスピード感たっぷりに済まされちゃってるので、私はいつも四十三階、え~? 四十三階、え~? と思うことになるのです。このすぐあとは、ある種感動の名シーンなのに!
お蔭で私の頭の中では、秋川誠元:階段を地下三階から四十三階まで駆けのぼった男、ということになってしまって、なんかそんなんお笑い芸人のキャプションみたいやねんで…がっくし…。PR -
4月に、文庫版『あなたの魂に安らぎあれ』の五刷と六刷を読み比べて変更点がどうのと言っていましたが、ようやく全部のチェックが終りました。まあ、見落しは確実にあると思いますけど。
足掛け4ヶ月、うっちゃっている間に小人さんがやってくれないかとひそかに思いつつ、そんなことあるわけないので、ここ1週間でがんばって片づけましたよ。しかし、『帝王の殻』もやんないとね。なんだか遅遅として進まなかったのは、誠元パートが辛かったからです。文庫本を2冊横に並べて読み比べ、右を向いても左を向いても
真っ暗闇ダブルで楽しくない。これが、表記の改訂や書き換えられた文章があるならまだしも、ほとんど誠元パートに変更点はなく、物語の根幹だから変える必要がないと言えばそうなのですが、一体何の罰ゲームなのかと…。その点、梶野少佐は、ほぼ全面的に微妙から大幅なセリフの変更箇所があって、すごい笑える。お蔭で対するサイ・玄鬼も、23章のセリフにかなり変更が。
ちょっと、ちょっと、そんな人たちとは思わなかったわ!(嘘)そこはともかく、『あな魂』と『帝王の殻』の旧版同士でも存在した、ずっと放置されていた矛盾点が、『膚の下』と整合性を持たせるための改訂で、まとめて修正されちゃったのかな。意図的な、と云うか、特に修正を必要としない齟齬に関しては、そのままだったような気がしますが。
やっぱり、『帝王の殻』も読み比べた上で、『あな魂』の改訂箇所を考えるべきかもしれませんが、そんなことを言っていたらいつできるか分らないので、さくっと『あな魂』新旧比較がやれたら良いです。そのうち。 -
今日は家の近所の図書館へ行って、『あなたの魂に安らぎあれ』を借りてきました。ハヤカワ文庫本の2000年2月の5刷です。私が図書館にリクエストして入れさせた物なので、つまりはこれが私の読んだ版となります。
たまたま機会がなくて、旧版の『帝王の殻』を借りてから時間が開いてしまいましたが、一応、『帝王の殻』が書き直されているのだから、『あなたの魂に安らぎあれ』も少しは直されているのだろうな、持っている新版と比較して見なくてはと思って借りたのですが…。まず、初めて梶野少佐がサイ・玄鬼と話すシーンを読み比べてたら、正直、すっ転ぶかと思いましたよ。いや、予想していてしかるべきでしたけどね。
これはやはり『帝王の殻』と同じように全編とおして比べてみる必要があるってことなのでしょうね、面倒くさ…(ヲイ)。梶野少佐が出てくるところだけでイイやと思ってたのに。(てか『帝王の殻』もまだ全部比較してないけど)
新版がハードカバーの『膚の下』に合わせて出版された2004年4月以降に読んだ人は、感想を書くなら読んだのが新版か旧版かを書いといてくれないと困るなあ。いやあ、別に困るのは、梶野少佐の言葉遣いがやや変化してちょっと印象が違うのと、九一式熱線銃云々のくだりと滅裂がなくなったのがなんとなく寂しいと思う私ぐらいなものでしょうが。
これはファン同士の間でも、旧版のつもりで話をしている人と、新版の話をしている人とがいて、実は噛み合ってなかったりするのかも。もちろんストーリの筋が大幅に変わっているわけではなく、『膚の下』との整合性や、昔の文章の言い回しが引っかかると思われた部分に手を入れたということで、大したことではないのでしょうが、が、……。
うーん、私の梶野少佐との出会いは旧版だから、やっぱり旧版の方の描写に思い入れがあるなあ。しっくりくるよね。
昔読んでるからと思って、『あなたの魂に安らぎあれ』も『帝王の殻』も新版文庫を買っただけで、きちんと読み返してなかったのが良かったんだか悪かったんだか。
しかし当然、私の梶野少佐像は『膚の下』で構築された部分も多いわけで、新版と旧版のどちらかしか大事ではないことにはならないわけで。新版でしか読んだことのない人に、梶野少佐のこの複雑な魅力が伝わるものかなあとか、無駄に反感くらう書き方をしてみたり。そういうことはともかく、これは旧版の『帝王の殻』だけでなく、『あなたの魂に安らぎあれ』の旧版文庫もどこかで見かけたら手に入れてしまっても良いね、て言うか手に入れます。いつか、絶対。
拍手レスです。
13日23:48 素敵…の方へ
桂城少尉は私が描くと、デコッパチ子になる予感がひしひしとするのですが、それでもよろしければ考えて見ます。
それでは、コメントありがとうございました。