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露草備忘録

〈火星三部作〉は『あなたの魂に安らぎあれ』と『帝王の殻』と『膚の下』(神林長平著、早川書房)で活動中。梶野少佐中心。

名前について 5

最近、懸案だったアニメ「ラーゼフォン」のTVシリーズと劇場版をようやく全て観終えたので、『ラーゼフォン 時間調律師』(徳間デュアル文庫)を本棚から引っ張り出してきて、ぱらぱらっと再読しています。
「ラーゼフォン」は本放送時に録画し損ねたりで、結局視聴を中断してしまいました。その後レンタルで視聴コンプリートするより前に、ノベライズ版(と言うか)を読んでしまったのは、良かったのか悪かったのか判然としませんが、結構そのまんまだったんだなぁと感じる(いやいやいやいや…)のは、単に読んだのがかなり昔のことだからのような気もします。
そんなことはともかく、ぺらっと頁をめくっていたら主人公の明という名前が、「日と月の両方を司る」(『ラーゼフォン 時間調律師』p.96 l.7)意であるというところを見て、先だって間明少佐には日と月があるのだなあと思ったのはこれが原因かと、得心がいきました。
そこで今回は、その説を応用して、間明少佐の名前を考えてみることにしました。


さて、「あなたの宿命なのよ」(同p.148 l.1)の明と違って、間明少佐に特殊な運命がないことは分りきっている(笑)のですから、間明とは、そのまま日と月の間を意味することになります。つまり、日でも月でもない、地球のただ人ということです。
しかしながら、『膚の下』の世界では月は失われています。とすると、この日と月は、もう一段階象徴化された何ものかであると、とらえることができます。できなくてもそうします。これをテキストの深読み、こじつけ、拡大解釈と人は呼びます。
ところで『膚の下』作中、間明少佐の一番大事な関わりは、十数年来の友人の梶野少佐とのものと、教育教官担当であった慧慈軍曹とのものです。
すなわち、短絡的に考えれば、日と月が表しているものは、この二人(一人と一アートルーパー)ということになります。どちらがどっちかというのは、梶野少佐の名前が衛青であることから、たぶん梶野少佐が月で、日が慧慈となります。


と、云うようなことを以下えんえん文章に起こしていて、さすがに我ながらかなり妄想ばりばりで呆れたので省略。
しかし、間明少佐を真ん中に置いた場合、梶野少佐と慧慈が対置されるのは疑いのないところです。
なにせ、間明少佐のこの苗字は、『帝王の殻』に出てくる間宮大尉との類似を見せている(MAGIRA/MAMIYA)わけですから、梶野少佐との関係性から導かれたものと思われます。
そしてまた、間明少佐の下の名前の彊志も、三部作の共通主題「父と子」の主たる父としての役割から導かれています。子の役割を担うのは、当然ながら慧慈です。
という風に、間明彊志という名前からして、梶野少佐と慧慈との関係に強く招聘されていることがその証です。
まあ間明少佐は、きっと嫌がるでしょうけどね。

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