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露草備忘録

〈火星三部作〉は『あなたの魂に安らぎあれ』と『帝王の殻』と『膚の下』(神林長平著、早川書房)で活動中。梶野少佐中心。

なにがなんだか

 梶野少佐はアミシャダイをにらむ。そして口を開きかけたとき背後から誰かが近づいて、その肩を掴んだ。
「もうよせ、母さん」
 間明彊志だった。
「あなた」と梶野衛青。「あなたは、こんな息子の勝手を見逃せ、慧慈を見捨てろと言うの」
「見捨てるもなにも、もう手をかけて世話を焼いたり、教育する必要はない。息子は、勝手に生き始めたんだ。われわれ親が、こういう子に育てたんだ。慧慈は、両親のためじゃなく、自分が満足できる道を見つけた。われわれは、息子の自立するさまを目にできる。喜ぶべきことだ。あとはまかせておけばいい」

あー、もうダメ、耐えられん…! 元の文は『膚の下』下巻p.600 l.15~p.601 l.6からですよ。
この一月ばかり、ここの場面がまるで、親の敷いたレールを歩んでいた孝行息子が、大学をこっそり中退してとある職人の住み込みの弟子かなんかになってて、それを知った母親が騒いで連れ戻しに行くんだけど、あんまし進路に口出ししたことがなかった父親は、意外に息子のことを認めて許してやるような、よくあるホームドラマの1シーンのようだと思ったということを、どうやったらスマートかつ説得的かつ実証的に説明できるだろうかと悩んでいました。
しかし、それは悩むだけムダという結論に達したので、ネタとして処理することにしました。ああもう、どうしようもない。
つまり、梶野少佐、あなたはどこのオカンですかと言いたかっただけです。なんでそんなに間明少佐とメオトっぽいんですか。


本当はここから、梶野少佐の『膚の下』における母親的役割であるとか、不在の月の代補的ありかたなんかに進むつもりだったんですが、この最初の部分がアカデミックにクリアできなかった(できる気でおったんかい)ので、何書いてもあとはこじつけ臭いのがなあ。
ま、私のここ(露草備忘録)での記述は、たいがい牽強付会ですけどね。
でも、梶野少佐は『膚の下』の月の不在と母の不在を同時に解消する存在である(これホント)ということは、また次回やります。手を変え品を変え。
まだだ、まだ終われんな。
ではでは。

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