次に(2)特に設定の変更を伴わない、文章の書きかえ。ですが、これは多くありません。ぶっちゃけ一箇所です。もちろん(3)が多くて、そのついでに文章の気になるところも手直ししているとすると、区別できないですから全部(3)に入れました。
さて該当箇所ですが、
夫がいなくなってこんな気分になるのだから、誠元の心にはたぶん、ずっと前から、わたしのことなんか消えてしまっていたにちがいない。(『あな魂』五刷 #18 p.247)
身近にいるべき夫がいないこの寂しさを、きっと誠元も感じていたのだろう。誠元の心にはたぶん、ずっと前から、妻であるわたしはいなくなっていたのだろう。(『あな魂』六刷 #18 p.289)
という感じで、微妙な違いですね。ですが五刷の「こんな気分」を、六刷では「身近にいるべき夫がいないこの寂しさ」と具体的に記述。そして五刷の「誠元の心には…にちがいない」が少し文法的に破調なのを、六刷では「誠元の心には…のだろう」に修正、それに伴って五刷の文章の強い断定が弱められています。また、六刷ではわたしの前に「妻である」を追加して、五刷よりも妻という立場、こんなふたりが夫婦である意味とはなんぞやを強調していますね。
しかしこのへんは深入りせずに、5に続く。
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