昨日は、(2)に含めればいいような部分を取り上げてしまい、そういう書きかえまで拾っていると時間がいくらあっても足りませんので、(3)にそった内容の箇所を取り上げていきます。ちょっとしたところは飛ばします。むしろ(2)で扱えよですね。反省です。
「こっちが聞きたいよ。わたしは玄鬼。破沙の人間だ。アンドロイドじゃない。人間だ」
「これは……そうですか、破沙シェルターには人がいるのですね。そうか、それでわかった。あのドンパチは、あなた方の仲間ですね」
「ドンパチ?」
「ちょうど、その真っ最中に降り立ったようだ。アンドロイドも数百年もたつと反抗的になることは予想していましたが。いや、これは失礼しました。わたしはUN・アドバンス・ガード・一三一方面部、梶野少佐です。地球に残り、地球を守られてきたあなた方に敬意を表します」
(『あな魂』五刷 #23 p.318)
「こっちが聞きたいよ」と玄鬼。「わたしは、サイ・玄鬼。人間の魂司祭だ。アンドロイドじゃない。破沙の人間だ」
「破沙の司祭、人間か。しかし、破沙の人間がどうしてここに。――そうか、あのドンパチは、破沙の人間とアンドロイドでやられているのですね」
「ドンパチ?」
「ちょうど、その真っ最中に降り立ったようだ。アンドロイドも数百年もたつと反抗的になることは予想されていたが――」
「あなたは、何者だ」
「失礼。わたしはUNAG、UNアドバンスガード、一三一方面・先遣部隊の梶野少佐です。地球に残り、アンドロイドを教育しつつ地球を守られてきたあなたがたに、敬意を表します」
(『あな魂』六刷 #23 pp.374-375)
まず、ここで切った、玄鬼と梶野少佐のやりとりを見ていきます。ここは、はっきりと『膚の下』に合わせての違いがあります。サイ・玄鬼のセリフに、六刷では「人間の魂司祭だ」が追加、梶野少佐のセリフに「アンドロイドを教育しつつ」が追加されています。これは間違いなく『膚の下』での結末に合わせるための追加です。
また五刷の梶野少佐のセリフ「破沙シェルターには人がいるのですね」が六刷では削られているのですが、ここから『あな魂』執筆時点では、破沙シェルターに人間がいるかいないか、UNAG側にははっきりしていなかったことがわかります。六刷のサイ・玄鬼のセリフに「破沙の人間だ」と、破沙が追加されているのは、破沙に人間がいるのは確定されていることを強調する狙いがあるのでしょう。そこで五刷では「そうか、それでわかった。あのドンパチは、あなた方の仲間ですね」と言っていた梶野少佐が、六刷では「――そうか、あのドンパチは、破沙の人間とアンドロイドでやられているのですね」と言うことになるのです。
特に結論めいたこともないまま、8に続く。
PR
コメント